奈央ちゃんと買い物に行くと、着せ替え人形だったりする。
「うん、こっちよりはこっちかな。じゃあこれとこれとこれ持って、はい試着」
何個か服を渡されて狭いボックスに放り込まれる。
「こ、これは…」
そのほとんどが、なんというか可愛らしい。
誠二に着せればそれは可愛いものになるだろう。
けどこれを自分で着るのは…。
「奈央ちゃん…」
「ん?着れた?」
「全部、却下で」
「えー!!」
あたしにフリルは似合わないと思うよ…。
そもそも自分は着ないくせになんであたしにばっかこんなの着させようとするんだ。
この後ずっとこんなやりとりを交わすことを考えると眩暈がした。
美幸とご飯を食べに行くと、大体後悔するような場所だったりする。
「美幸、すごい睨まれてるんだけど…」
「大丈夫ですよ。あ、そこの人!シェフ呼んでくれます?」
お前はどれだけの金持ちなんだよ。
恭しく登場したシェフに今日のおすすめを聞くと、何個か適当に注文しだした。
その単語はあたしには難しく、またメニューを開いて違う物を頼む気にもなれない。
この場合、あたしに許された台詞は一つだけだ。
「…彼女と同じ物を」
「承知致しました」
頭を抱え込みたい衝動をなんとかこらえて眉間に指を添える。
「どうしたんですか?先輩」
これはデートコースにしたって庶民の域を越えている、と教えてやったほうがいいんだろうか。
誠二と映画を見にいくと、ほとんどホラーだったりする。
「今日はそんなに酷いヤツじゃないから平気よ〜」
誠二の平気はあたしにとって平気じゃねぇよと思う。
けれど券があるならもったいないよねとなんだかんだでついていくあたし。
「どういう話?」
「まず主人公はすごく普通の家庭のお父さんなんだけどね」
「うん」
「ある時から家で災難ばかり起こるの」
「ほぅ」
「それで家の地下を調べたら誰かの腕が落ちてたの」
いきなりスプラッタだね。
「後ろを振り向いたら左腕を失くした…いやんここからは見てのお楽しみ♪」
もう楽しみにできる気分じゃないよ。
これからその続きを見るんだなと思うとお腹がきゅって冷えた。
「っていう女の子しか周りにいなかったから男勝りになってもしょうがないと思う…」
「せーちゃんがしっかり女の子カテゴリなのね」
「まっつーも結構な曲者だと思うけどなぁ」
「アキちゃんの服のセンスはダサいしご飯はおでんだし映画はアニメだしアキちゃんにだけは言われたくないわ」