※この話は文化祭の後の話です。
「さぁ桃松、遺言はある?」
「棺桶の中にはあたしの一番の宝物であるラブゲを入れておいてください。
あとエルたん抱き枕」
「そうね、まったくすぐ死になさい」
文化祭の片付け日。
ヒナとのダンスを放ったらかした桃松を発見した私はとにかくボコボコにした。
それはもう水木○げるの妖怪のような顔になるまで…。
「み、みどり!?何してるの!?」
ちっ、もうきたのねヒナ。
優しいヒナはきっと止めるだろうとヒナのいないところでボコボコにしてたのに。
「ヒナ、止めないで。これは新しい形の愛情表現なの」
「ドSにも程がある…」
「みどり、遅刻はしたけどまっつーはちゃんと私と踊ってくれたよ?」
「そうなの?」
桃松の顔を見ると、ぶんぶんと顔を縦に振った。
「ちょっとぉ!サボってないで手伝って!」
「あ、うん」
看板を片付けていた子たちから非難の声が…。
くっ、これまでか…!
「ふんっ、この程度で済むと思うんじゃないわよ!
次はその頭をド真面目に公正してやるわ!」
「えぇぇ、身体的苦痛ならまだしも精神的にもいじめるなんてみどりんのいじめっこ!」
「黙りなさい!」
まったくもう、ほんとムカつくヤツだわ…。
「…」
「…」
じー。
…なんなのよ。
「ヒナ、言いたいことがあるなら口で言ってくれない?」
「あ、ごめん。だってなんか…羨ましい」
「はぁ?」
何が?どの辺りが?
「私もちょっと、まっつーに暴力してみたい、かも」
ヒナが大変な悪癖に目覚めました。
「…ヒナ」
「なに?」
「暴力っていうのはね、する方も痛いのよ」
そう、暴力とはそれ即ちする方も受ける方も辛い地獄の所業!
本当はそんなこと思ってないけどやらないに越したことないわよ。
「でもなんか軽い小突き合いってちょっと憧れる、かな」
まぁ確かに私はヒナに暴力をふるったことはないけど。
いやでも暴力してみたいってのはちょっと問題発言よ、ヒナ。
「こう…痛くないようにしてみる、とか」
「ヒナ、それは暴力とは言わない」
「じゃあじゃあ、まっつーに襲いかかってもらってそれを私が投げる!…とか」
とか、じゃないわよ。
実現不可能じゃないあたりが嫌だわ。
そもそも「襲いかかって〜」の辺りで突っ込むべきだったわ。
「まっつー!」
「何?」
「襲いかかってきてみて!投げるから!」
「どう考えても嫌だなぁ」
まぁそうでしょうね。
ヒナ、そんな泣きそうな顔で見ないでくれる?
「ねぇみどりん。委員長は何がしたいの?」
「そうねぇ、桃松」
「うん?」
「ヒナにセクハラしてきてあげてくれる?」
「いいの!?」
嬉々として触りにいく桃松。
何も知らないヒナの後ろに立つと、そのままペタペタとお尻を触り始めた。
「ひゃぁっ!?」
「78…ぐらいかな」
あんたのその手はメジャーなみに正確ね。
さぁヒナ!今こそ殴る時よ!
「…」
顔を赤くして呆然と立ち尽くすヒナ。
いやいや、ちょっとちょっと?
「殴りなさいよ!」
これじゃあ仲良し小突き合いじゃなくてただの変質者と痴漢を摘発できない女子高生じゃない!
やっぱりヒナには暴力は向いてないみたい。