Lily memo %



うちの妹はもうダメかもしれない8




妹は、レズビアンだ。


…それは、確実な、はず、なんだが…。

「よいではないかよいではないか」
「やめてアキちゃん!それだけはやめてー!」

今、少し自分の記憶に自信がなくなってきたところ、だったりする。



「で、何してんだ、お前」



「…えー、ビアン、ごっこ」

ごっこかよ。

「だって本物の女の子じゃ服を脱がす技術とか上達させてもらえないじゃん!」
「だからって誠二でやるなよ、ほら、誠二泣いてるだろ」
「しくしく…」
「うん、あたしの心は痛まないから大丈夫」

この鬼畜!
修学旅行から帰ってきてこっち、ずーっとこんな感じの妹だ。
…なんでも「好きなことやるべさ」ということらしい。
あたしは自由だと言いながらまさに法に触れるか触れないかのギリギリフリーダムなことをしている。

「今日は誠二と奈央とお茶を楽しむんじゃなかったのか?」
「奈央ちゃん遅れるっていうからそれまで暇つぶしに…」

暇つぶしで誠二をもてあそんでやるなよ。
お前には申し訳程度の礼儀もないのか。



ピンポーン



「お、奈央ちゃんきた。ノリも一緒かな」
「あぁ、良かった…」

パタパタと妹が迎えに行くと、残されたのは脱がされた誠二と、俺。
そして妹が戻ってくると…。




「…夏雄、あんた何やってんの?」
「な、夏雄さんの浮気者…!!」




誤解された。

「ち、違う!俺じゃない!」
「俺以外の男の子にはセクハラはしても抱かないって言ってくれたのに…!」
「夏雄、最低ね。あんた」

誤解だ!誤解なんだ!
せめてノリの誤解だけでもとかないと…。

「せ、誠二!なんとか言ってくれ!」
「うぅ…私は嫌だって言ったのに…」
「誠二の裏切り者ぉおおおお!!!!!」







…間。







なんとか誤解も解けて楽しいお茶会の始まり。
…別に俺の頬に手形なんて付いていないぞ。
これは、ちょっと、ある意味で愛の形だ。

「うーん、すっぱい」
「紅茶っていうよりはジュースよね」
「文句言うなら飲まなきゃいいじゃないか」
「いえいえ、これが飲まずにいられますか」

どういう返答だそりゃあ。

「アキちゃんが私のために買ってくれたお土産よ?
 いうなれば夏雄の鞄につけられてるキーホルーダーと同じくらいの価値があるんだから」

あぁ、アレな。
ノリが俺のために買ってくれたお土産だからちゃんとつけてるさ。
緑のガラス細工でノリの持ってるやつに嵌めこむことができる。
そう!まるでノリのお尻と俺の



パコン



「兄ちゃん、鼻血」

OK、いつものことだ。

「誠二君もこんなに可愛いジンベエザメのクッションくれたし…。
 あー、この数日耐えきった甲斐があったわー」

そんなにしんどかったのか?
美幸ちゃんと3人で過ごした良い思い出じゃないか。
美幸ちゃんの猛アタックも奈央のおかげでなんとかなったし、俺的には大満足だぞ。

「誠二は自分の土産には何か買ったのか?」
「はい、私は可愛い腕輪を買ったんです。
 ガラスが嵌めこまれてて可愛いんですよー」

キラリと腕に光るそれを見せる誠二。
うーん、女の子だ、これは。

「アキちゃんは何買ったの?」
「こいつはマナティのぬいぐるみとストラップだ」
「夏雄には聞いてない」

む、なんだかこないだから冷たいぞ、奈央。
俺が何をしたっていうんだ。

「あぁ、そういえばアキ」
「なに?」

ノリはポンと手を打ち鳴らすと、アキを振り返った。

「俺のあげたカップル用のキーホルダーはどうしたんだ?」
「持ってるけど?」

うん?
ノリめ、浮気か?
俺以外にもこのキーホルダーをあげたのか?
にじにじとノリを責めると、違いますよとデコピンされた。
…男のデコピンは割と痛いぞ。

「二セット買って一つをアキにあげたんです。
 夏雄さんと俺ので、ワンセットですから…」

くぅっ、かわいいぜ…!
今すぐベッドにもぐりこみたいぐらいだ!
…アキが睨みをきかせてなかったらな。

「で、お前は一人でカップル用のキーホルダーをワンセット持っているわけだ」
「そうだけど?」
「そうかぁ、そうなのかぁ、…ニヤニヤ」
「…」

いてぇ!無言で足を踏みつけるな!



「…アキちゃん、嘘ついたでしょう」



その様子を見ていた奈央がポツリと。

「え」
「また癖出てるよ?」

くそう!その癖がすごく気になるぜ!
それさえわかれば俺の生活は平穏になるに違いない。
まぁいい、そんでどの部分が嘘だったんだ?

「キーホルダー、ほんとは持ってないんじゃない?」
「そんなことないよ、ほら」

妹が出したのは財布についた赤いキーホルダー。
…なるほど、俺たちのとは少し形が違うな。

「もう片方は?」
「…」

おや。

「もしかしてアキちゃん、ヒナちゃんにあげた?」

と、これは誠二。
目片さんか?そうなのか?

「なんでそう思うの、誠二」
「ヒナちゃんがアキちゃんにキーホルダーもらったって喜んでたの見ちゃったから」
「…他意はないよ、他意は」

カップル用のキーホルダーあげといてどこが他意がないっていうんだ。
下心じゃないのか?

「委員長が記念にってこれくれたから、そのお礼にあげただけ」

これ、といって出てきたのはマナティのストラップ。
携帯についてるから自分で買ったのかと思いきや貰いものだったのか。
…うむ、しかしロマンスの香りがするな。

「修学旅行中に何か良い事なかったのか?ん?」
「それはない」

奈央の方を見ると、フルフルと首を振っていた。
うーん、嘘ではないのか。

「そう?アキちゃんったら結構、ヒナちゃんとみどりんとラブラブしてたじゃない」
「鈴城さんを膝枕したり委員長と手を繋いでたっていう目撃情報があるけど」

どこ情報だよそれ。
めちゃくちゃ良い事あり放題じゃないか。

「全部成り行きじゃんか。
 それって逆に悔しくない?」
「なんで?」
「だって委員長もみどりんもあたしのことどうとも思ってないってことでしょー」

まぁあれだ。
親愛ってヤツだな。
その気持ちもわからなくはない。

「…どうとも思ってない人と手を繋ぎたいなんて思うかしら」
「誠二、委員長は『武下君は私を姉のように慕ってくれてる』なんて言う子だよ!?」
「確かに面白いぐらい鈍感だけど…」

例のスーパー君の話か。

「…ねぇ、アキちゃんは好きな子いないの?」
「いないよ」



チラリと、全員が奈央を見る。



「…私を嘘発見器扱いしないでくれる…?」

でもふるふると首を振った。
嘘ではないのか。
俺の予想では目片さんか鈴城さんのどちらかが好きだと思ったんだけどな。

「だからあたしの恋人はエルたんだって」

言ってろ、駄妹め。

「そういえばアキ、そろそろ中間テストだが勉強してたか?」
「修学旅行があってその前後で勉強なんかしてると思うのかバカ兄貴め」

お前、そこは誇るところじゃねえよ。

「うーん、ヤバいなぁ」
「え?ノリ勉強見てくれないの?」
「俺、大会が控えてるから今回はアキの勉強を見てる余裕が無さそうなんだ」

そういえば高校の水泳部はまた大会があるんだっけ?
今年は祝日の関係で2週間ずれたんだよな。
おかげで中間テストの期間とドンピシャらしい。

「誠二は?」
「毎度のことだけど自分自身と巽のお守で精一杯よ」
「…奈央は?」
「私が誰かに勉強を教えられると思うの?」

思わないな。
俺は昔、奈央が「え、素数って何?」って言ったときのことを忘れてはいない…。
と、なると…。

「夏雄さんは?」
「…その期間は大学の水泳部の合宿があるぞ」
「え…」




万事休す…?




また目片さんにお願いしようかと思ったが目片さんも水泳部だ。
これに勉強を教えられるぐらい賢くって暇なヤツ…。

「あ、一人大丈夫な子が居るっちゃ居るわ!」

お?誰だ?



「美幸ちゃん…!」



奈央、たぶん妹食われるぞ。

「でも夏雄さん、それ以外居ませんよ」
「むぅ」
「兄ちゃん、妹の貞操と妹の成績、どっちが大事?」

OK、そういう二択問題は得意だ。




「成績でファイナルアンサーだ!!!!!」




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