Lily memo %



14  夢でも霞でも(木田深香編)




しんどかった合宿から数日。
夏休みのなんということはない時間。

「……んぱいっ!」

移動をしている途中で聞き覚えのある声に足を止めた。
人の少ない道だ。
バンちゃんではないけれど、こういうときは身を潜めて盗み聞きしてしまう。

「なんで参加してくれないんですか!?」
「そういわれても……」

あれ、もう一人の声は……。
ちらりと覗いてみると、やっぱりというかなんというか。



「深香……私は軽音楽部なんだから……」



トマ子と、その後輩の木田深香だ。
珍しく少し困ったような顔で後輩に対して溜息を吐いている。

「そう言う割りには、こないだ演劇部の合宿についていっていたじゃないですか!」
「あれは……言ったでしょ。明日香が心配で……」
「それじゃあ私を心配してくださいよ!」

どうやら何か強要されているらしい。
まったく、私が言える話じゃないけど、何かと付け入りやすいヤツだな。
明日香といいトマ子といい、ちょっとぬくぬく育ちすぎ。

「大体、バスケ部との親睦会なんて何の必要があるのよ」

ほほぅ。
バスケ部といえば相田優だけど。
どうしようかな。

「よりによってバスケ部……か」
「なんですかもう、バスケ部じゃないきゃいいんですか?」

トマ子の脳裏にも相田が思い浮かべられたのだろう。
そして当然、私のことも思い出しているはず。
私は携帯を取り出すと、トマ子の番号を呼び出した。
携帯が音を立てると、トマ子はビクリと肩を揺らした。

「ちょっとごめん」
「先輩!まだ話の途中ですよ!」

放ったらかしたら大変なことになるとわかっているトマ子は後輩に詫びてからすぐに電話に出た。

『なに?』
「その話、受けなよ」
『はぁ!?』
「それじゃ」

それだけ言うとまだ何か言っているトマ子を無視して電話を切った。
トマ子は少しだけ周りを見回した後、後輩に返事をした。

「わかった。行く」
「ほ、ほんとですか!?……でも、どうしたんですか?急に」

確かに。
嫌がっていたやつが突然行くって言い出したら私なら疑問に思う。
むしろ疑う。

「確かに、最近明日香ばっかり気にかけていたから……。
 たまには放ったらかしでもいいかなって」
「あ、さてはさっきの電話。明日香先輩だったんですか?」
「う……ん、まぁ」

電話したのは私ですが。
トマ子のこういうところは好きだな。
明日香や姫とは違って嘘が有用であることを知っている。

「つまりは打ち上げってことでしょ。それで、場所は?」
「えっとですね……」

場所と時間だけを聞くと私はそこをゆっくりと離れた。





























「なんでいるのよ」

開口一番それか。
夏休みともあってさすがに今日は学校全体が静かだ。
学校に来ている人間はというと、部活動に精を出しているか、もしくは。

「……ふぇぇ、トマちゃん助けてぇ」
「言っておくけど、私は今日は何も手出しをしていないけど?」

このように補講に呼ばれて宿題に追われ四苦八苦しているか。

「明日香は毎年のことだからいいわよ。
 ジョウ、あんたは何してるの?」

毎年これか。
明日香の要領の悪さには頭が下がるな。

「あ、しかもここクーラーついてる!」
「軽音楽部にはないの?」
「ないわよ!」

防音なだけあって熱気の溜まるこの部屋にはクーラーという便利なものがついていた。
つまり私も明日香も涼んでいるのだ。
明日香は快適に勉強するために、私は快適に寝るために。
なにせここ最近夜はバイトだし。
夏のお祭りというのは健全に稼げるものである。
時給が跳ね上がるし。

「じゃ、おやすみ」

手をふらりと揺らすと、マットに倒れこんだ。
あぁ、眠い。
今日の夜は急用もできたししっかり寝なければ。
あ、しまった。明日香にも声をかけないと。

「明日香」
「な、なに?」
「私が起きるまで帰るなよ」

それだけ言うと目を閉じる。
しばらくした後に誰かに撫でられた気がしたけれど、気のせいだろう。
ここ最近の私は恨まれるようなことしかしていないのだから。



















携帯の音がわずらわしくて目を閉じたまま手を伸ばした。
そういえばアラームをセットしていたっけ。
携帯が勝手に鳴り止んだ。
不思議に思って目を開けると、すぐ間近に明日香が居た。

「……あ、ごめん」

別に起こされたわけではないからいいんだけど……。
携帯の音で目覚めたということは、私はしっかり熟睡できたということだ。
静かに待っていた点では誉めてもいいな。
明日香の頭をぐしゃりと撫でると、もう片方の手でペットボトルを握った。
クーラーの下で寝ると喉が痛い。

「さてと」

立ち上がってみると、明日香だけでトマ子はいない。
バンちゃんは朝から音信不通だし、姫は今日は吹奏楽部。
こいつだけか。

「明日香。親に連絡して」
「え!?な、なんで!?」

なんで青くなってんの。

「晩御飯奢ってやるから。今日はご飯要らないって連絡しときなよ」
「あ、あぁ、そういう……」

なんだと思ったんだ。
いくら私でも人の親には手は出さないって。

「でもどうして?」
「ちょっと用事があって」

場所は、焼肉屋だったな。
さすが打ち上げ。
バンちゃんだったら奢るって言ったら喜んでついてきただろうなー。

「あの」
「ん?」

明日香は少しだけ顔を曇らせると、言いにくそうに口を開いては閉じてを繰り返した。
なんだろう、まどろっこしい。

「なに」

少し腹立たしげにそう告げると、ビクリと肩を揺らした。




「……ありがとう、って……言いたかっただけなのにな」




鼻で笑ってしまいそう。
私に向かって、ありがとう、ね。

「それで?」
「え?」

ある意味正しいといえば正しい。
ありがとうの意味は「有り難い」ものだ。
珍しいことには違いない。
ぐいと明日香の腕を引っ張る。

「きゃっ!?」

明日香のありがとうの意味はそんな事実を述べただけのものではないだろう。
本来嬉しいです、の意味を込められた言葉で言いたかったのだろうけど、そんな顔で言われても。
嬉しくもないありがとうほど意味のないものはない。
左手で抱きとめた後、右手で顎を掴んで固定させる。
目をしっかり合わせると、きっちり怯えてきた。


それでいい。


懐かれると困る。
下手な友情はいらない。
お節介なやつほど、身内に居て困るものはないのだ。
ましてや復讐なんてものを企てている時には。
服を脱がせると面倒なので、そのまま首筋に噛み付く。

「いっ」

痛かったのだろう。
控えめに脇腹に触れてきた手に力が篭る。
恐怖心を植えつけるように痛い部分ばかりをわざと噛んだ。

「いたっ、いたいっ」

目尻に浮かぶ涙を拭ってやることはなく、服を捲って豊かな胸にも噛み付いた。
もっちりとした弾力が楽しくて唾液が垂れるほど遊ぶ。

「…んん」

胸は痛くなかったのか、甘い声が漏れる。
乳首に強く噛み付くとビクリと体が揺れた。
倒れないようにしっかりと左手で抱えるように支える。
少し急だとは思うけれど、時間があるわけじゃないからそのまま顔を下げていく。

「やっ」

スカートを捲り上げて下着の上から舌でなぞる。
女の子特有の性的な匂いに少し顔を顰めた。
もうびしょ濡れって……。
まぁ、いいや。
下着を横にずらし、明日香の準備の良い場所に舌を挿し入れた。

「あー…っ」

崩れそうになる明日香の腰をもう一度しっかり抱えなおした。
明日香も両手で私の頭を掴んできた。
挿し入れた舌で擦り上げるたびに腰を揺らすから付いていくのに必死だ。

「あんっ、あっ」

スカートのせいで顔が見れないのが残念だな。
舌を抜いて今度は指を挿れる。
おまけとばかりに歯で陰核を扱く。

「ダメ、もっ、やぁ……」

頭を掴む力が強くなって、髪がぐしゃりと乱れた。

「う〜っ……!」

あ、こいつ。イく時に声を我慢しやがった。
顔を離して睨みつけるが効果なし。
蕩けた顔をして荒く息を吐いている。

「明日香」
「ふぁい……」

一つ溜息を吐くと、私は口移しで強引に水を飲ませた。
それで少し目を覚ましたのか、少し悲しげに「下着……」と声を漏らした。
替えはあるから我慢しろ。

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