近頃の若いモンは4 (生徒会長:麻奈)








生徒会室の窓を開けると、中庭に小さな女の子と大きな女の子が見えた。
かろうじてだけど声も聞こえる。
あの二人は…。

「美月・アレクサンドさんと奥井咲等」

そうそう。
アレクサンドさんは前から知ってるけど相方の子はこないだちらっと見ただけだから…。

「って、どうしたあなたが覚えてるの?」

生徒会室の副会長席に座る彼女は、少し不機嫌そうに視線を伏せた。

「愛梨、奥井さんが嫌いなんでしょ」
「…好きではないだけです」
「またまたぁ」

素直じゃない子よねぇ、まったく。
あれくらいならいつもは見逃してあげてたくせに。
まぁどうしてあの子が気に入らないのかは予想がつくけど…。

「あら?」

アレクサンドさんがふわりと笑うと、奥井さんはごそごそと何かを取り出した。
そういえば今日は1年生は調理実習があったわね。
内容は…。

(ありがとうございます!凄く美味しそうなクッキーですね!)

そうそう、クッキー!
私も昔はいっぱいもらったわー。
…もっとも、今は生徒会長っていうだけで「強い」っていうイメージもなくなっちゃってもらわなくなっちゃったけど。
いいわねぇ。

「…そんなに欲しいならご自分で作られてはどうですか」
「愛梨、それは冷たすぎるわ」

自分で作ったものなんて何が美味しいのよ。
ああいうのは愛情というスパイスがあって初めて成り立つのよ。
それなのにこともあろうか自分で作れだなんてひどすぎるわ…。

(美月の口に合えばいいけど…)
(大丈夫です、咲等さんのためなら合わせますから!)

アレクサンドさん、やけに男らしい返答ね。

「塩と砂糖間違えてればいいのに」
「愛梨、発言が不穏すぎるわよ」

1年生相手に容赦がないわね。
ほほえましいんだから放っといてあげなさいよ。

(どうかな?)
(…すごく美味しいです)

まあ良かったわね。

「クッキーなんてまずくなるはずがないんです」
「愛梨、さっきと言ってること変ってるわよ」

まったくもう、いくらパートナーに構ってもらえないからって他人に当たっちゃダメよ愛梨。
そもそもそういう状況にしちゃったのあなたでしょう?

(私も味見してみよう)
(あ、ダメです!咲等さん!)

あら?
どうしたのかしら。

(…美月、これほんとに美味しかった…?)
(ごめんなさい…)

あらら?

(しょっぱいね…)
(…ごめんなさい)

「良かったわね、愛梨。
 願った通りになったみたいよ」
「…はぁ」

それはそれで気に入らないって顔ね。
今度は喧嘩でもすればいいとでも思ってるのかしら。

(すみません、嘘をつくつもりじゃなかったんですけど…)
(ううん、私こそごめんね。今度は美味しいの作るね)
(はい、…できれば次は一緒に作りませんか?)
(…!…うん!うんうん!)

まぁほほえましい。
でもちょっと面白味がないわね。
最近の1年生ってみんなこうなのかしら。








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