近頃の若いモンは3 (スギ)








携帯の呼び出しが鳴る。
…珍しいな、あいつから電話なんて…。

「もしもし」
『スギー!今から来てー!!』

プチン ツーツー

…まず、礼儀を覚えろと言いたい。
とりあえず教室に行ってみようか。
会ったら正座させて説教してやる。

「おい、咲等!」
「あぁぁああスギ助けてぇえええ」

…。
帰ろう、今すぐに。

「ちょっ!?なんで後ろ向くの!?リターンリターン!アイルビーバック!」

なんか色々混ざってないかそれ。
お前の頭はどんだけ混乱してるんだ。

「スギさん、助けてください…」

美月も居たのか。
なんだこの状況。

「咲等さんと話していて、『教室内で水魔法使ったらどうなるのか?』って話題になったものですから…」

そうか、それで教室に水があふれてるんだな。
実はバカだろう、お前たち。

「実体ではないから教室自体に問題はないが、…私は入れないぞ」

入った瞬間、その水に押し流されるだろう。
それに水魔法といえど攻撃用にカスタマイズされているから痛いんだ。
さっきからピチャリと靴に触れるだけでビリビリとした痛みが走る。

「でも私も痛いんだよスギー!」

咲等は美月のパートナーだから痛みは半減されてるはずなんだがな。
いくら緊急事態とはいえ机の上に乗るな、はしたない。

「どうにかならないのー!?」
「誰かの魔法で打ち消すか、誰かが体で受け止めるかしないと止まらんぞ」
「えぇええ」

真由さんを呼ぶか?
私の周りは近接戦の人間ばかりだからなぁ。

「よし、私が受け止める!」
「咲等さん!?いくらパートナーは痛みが半減されるとはいえ凄く痛いですよ!?」
「私が言いだしたんだもん!頑張るよ!」

咲等は言うが早いか、「とぅっ」と言って机の上から飛び降りた。
どーでもいいが咲等、すごくダサい。

「いだだだだ…」

半減されて地味に痛いんだな。
しゅわしゅわと水は消えていっているがその分咲等の体の痙攣がひどい。
…言っちゃ悪いが、これは、キモい、な…。

「い、いたひ…」
「咲等さん!大丈夫ですか!?」

ようやく水も消えたので、私も教室に入る。
うつぶせに倒れた咲等を抱き上げると、美月はがっくりと肩を落とした。

「咲等さん、ごめんなさい…。私が調子にのってこんなことするから…」

まったくだ。

「いや、もとはといえば提案した私が悪いんだよ…!」

ほんとにその通りだ。

二人揃ってバカ丸出しだぞ。
これはやはり説教せねば…ん?

「そういえば氷魔法はどうなってるんだろうね?」
「夏に使えば涼しいんでしょうか」
「痛くないかなぁ」

二人はいつの間にか私を忘れて世間話をしだしていた。



…私は何のために呼ばれたんだ?










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